大人と子供の現象学/空の青さを知る人よ

スキルアップ

アニメファンの間では有名な劇場三部作の3作目の公開が間近となっています。

僕はこの映画の予告を見て、最初はまた秩父で、見慣れたキャラクターデザインの映画やるんや、位にしか思っていないなかったのですが、予告の最後にモノローグで語られる「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」が妙に引っかかって調べてみたのです。

一番最後にモノローグが出てきます。

普段よく聞くのは「井の中の蛙大海を知らず」までですよね。これはすでに紀元前の思想家荘子が言った言葉らしいんですが、そこに続く「されど空の青さを知る」は、最近日本人が付け加えたものらしいんです。しかもまだご存命。吉田彰宏先生という哲学者。

なんて粋なことを考えるひとがいるんだろうって感動したので、そのひとの著作を読んでみた。

読みたいと思ったらkindleで買ってすぐ読める。すごい時代。

文字も大きいし子供向けなのかな?と思いきや、ちょうどよい歯ごたえに驚いた。

現象学っていうらしい。一つの現象を立場の違う人はどのように捉えるのか、立場は違っても変わらないものは何なのか、あということを考える哲学なのだそうだ。

その思想を一般化して伝えることはとても難しいから、いろんな具体的な例を出して、紹介してくれている。その一つが、「井の中の蛙大海を知らず されど空の青さを知る」だった。いかにもこの哲学者故のセンスだと思う。外から見て、あの蛙は世間知らずだと嘲笑するのではなく、その蛙だからこそ見えているものがあるのではないだろうか、と思いを巡らせてみる。この考え方ができることによって、教師と生徒の関係、親と子の関係、いじめっ子といじめられっ子の関係の捉え方が変わってくると、紹介されている。

人の気持ちに配慮するとか、それなりにやっているつもりでも、やっぱり自分起点でなんでも考えがちな癖は認識している。今度ささいな気持ちの行き違いがあったら、もう少ししっかりと相手の立場に立つ努力をしてみようかな。

そして、映画の内容もこのエピソードを想起させるようなものであってほしいな。