中小企業診断士は中小企業支援法で定められた中小企業を支援する専門家で、唯一の経営コンサルタントの国家資格です。残念ながら、あまり知られていませんが。経営コンサルタントは、誰でも名乗れるが故にその質の担保が問題になってきたそうです。中小企業診断士は、経営に必要な知識を網羅した試験で、一通りのことがわかった上で、経営コンサルティングに携わっていることを担保しています。それ故、経営を取り巻く状況が激変を続ける中、その知識のアップデートや、経験値を積んでいくことが必須とされ、5年に一度の研修までに要件を満たす必要があるということです。
中小企業白書でも重点的にとりあげられている、事業承継のお話。ファミリー企業で社長が100%株主兼代表取締役の場合、ぼんくら息子に承継されると倒産まっしぐらだそうで、そのケースの事業承継失敗がとても多いのだとか。
株を100%持っているということは、法律上は会社の一切の意思決定を行えます。社長の報酬上げたり、公私混同で畑違いの分野に投資したり、社長(自分)に金を貸したり、いう事聞かない取締役を解任したり。それって許されるの??
突き詰めていくと、「会社は誰のものか?」の議論に行き着くのだとか。
法律(会社法)や経済学的には、株主のものなのです。やっぱり。でも、現場を経験するにつけ、それ以外の価値観も十分に有り得るよねということに気が付きます。確かに法律には(明確には)書いてないけど、従業員だって取引先だって守られて然るべきじゃないか。それは法律以前の道徳観や哲学の分野になってきます。答えは社長の数だけある。でも、少なくとも社長は哲学を持っていなければいけないな、と気づきました。答えのない問題を議論する機会がこれまで殆どなかったので新鮮な経験となりました。視野を広げるのにとても良い場!診断士の1次試験に追加しても良いくらい、これからのコンサルタントには必要な分野だと思いました。(正解がないのでマークシートは無理かもですが)