個人的に初めての陸上ものの小説。もともとスポーツライターの人が書いているらしく、リアリティが凄い。そして、去年自分がフルマラソンを走ったこともあり、ランナーの心理がほんまそれー!体が突然軽くなったり重くなったり、意識が遠くなったり全然違うこと考え出したり(作中では山手線の駅を思い出すなんて思考を体がしんどいときに始めるっていうシーンがあり。)経験したことない人にとってはまったくわからない感覚であろうなぁ。
題材は、箱根駅伝の学連選抜。寄せ集めのチームなので、同じ釜の飯を食ってきた的な連帯感が希薄なのだという。その中で、陸上競技、特に駅伝におけるチームとはを考えさせられる。私はこの小説を通して、駅伝どころか、個人競技であっても応援してくれる人がいればそれはチーム戦だと思った。応援してくれる人がいること(時に的外れだったり重荷になったりもするけれど)で、自分が自分だけのために走るんではないという感覚(戦意・気持ち)にさせてくれる。それによって、実力以上の力が出たり(出しすぎて体を壊したり)ということが頻繁に起こるのだと思う。